あることが原因で母に対して怒ってた私は
事の後で、「グッピーが大量にお空に逝っちゃったんだけど
どうしてかしら?」
って電話が掛かってきた時に
「暑い中、窓際で直射日光に当ててたからだよ。
たぶん、水温30℃超えてたんじゃない?
水槽用の温度計つけて管理しなさい。」
(すんごい猛暑の日でした)
と教えてはあげたけど
『あんなことしといて、どういうつもりなのかしら?』
と内心思ってたから無機質な感じに受け答え。
そうしたら、
「まだ怒ってるの~~??もう、普通の人間に戻って~」
って言われた・・・・・・
普通の人間ですけども・・・・・・
その後は
妹にも相談しつつ、
妹も、母にそれとなく働きかけてくれたりして
妹に甘えつつも、まあ様子を見ていたわけで。
いつもは週に1~2回は電話してあげてる。
父を51歳で亡くして一人暮らしで
70歳超えても介護職で働いてる彼女は偉いと思ってるし
70歳超えても暑い中、肉体労働に従事してる
一人暮らしの彼女のことはやっぱり心配だから・・・・
もともと、気が強くてわがままで自由すぎる母・・・・・・
父も私も
妹も弟もよく振り回されてた。
父は、どんな我侭言われても黙って耐えてた。
彼女のために尽くしてた・・・
そんな母でも父は本当に大好きで愛していたから。
母に電話をしなかったら落ち着かなかった。
やっぱり1週間に1度はしないとちょっと落ち着かない。
猫3匹は一緒に住んでるし
妹も弟も私と同じように様子を見てくれてるけど
猫は何かあったとしても連絡できないし
ぽっかり空白時間が・・・てなこともなくはないし・・・
明日くらいには電話してあげようかな・・・仕方ない。
そう思ってた矢先だった。
その日・・・歯医者に行く日は誰も家に居なかった。
普段、家にはお姑さんが居て
いつでも誰かしら居るか、
出かけるのなら全員で出かけるので
普段、鍵をかけて自分だけが出かけることが滅多にないんだけど
お姑さんは、これまた山の中の家でたった一人になってしまった
義姉のところに妹の運転する軽トラで出かけていたから・・・・・
歯を念入りに磨いて戸締りをして
さあ、鍵を持って出かけようと思ったら
あるはずの場所にあるはずの鍵が無い。
探しに探した。
時間が無かったので、それはもう
ものすごく散らかしながら探した。
帰ってきて、自分以外の者が見たら
100%泥棒に入られた!!って思うだろう。くらいに・・・・・
結局、歯医者の時間が迫ってたので
自分の鍵は見つけられなかったけど
別にある予備の鍵で施錠して出かけた・・・・・
帰ってから、その泥棒に入られた後のような
ものすごい散らかりようを片付けながら探した。
外に持って行って失くした覚えは無いから
家のどこかにはあるはず・・・・・
前述したように、滅多に使わない鍵・・・・・
もう、ここ数年使ってないかもしれない。
なので、余計に何処で、いつ失くしたものか・・・
アクセサリー類が乱雑に絡んだ場所と
引き出しを丹念に探した。
バッグ類はくまなく探した。内ポケットも外ポケットも本体も。
コートや上着のポケットも
とにかく思いつく場所は全て探した。
でも、見つからない・・・・・・
私が、ここまで固執して自分の鍵を探すには理由があった。
家の鍵と実家の鍵が付いているキーホルダー・・・
これは、亡き父が外国のコインに穴を空けてリングを通し
実家の鍵をつけて渡してくれたものだったのだ・・・
最近数年、実家に行くとき・・・・・
私はこの鍵を持って行かなかった。
あるときに母が居ないのに私も鍵を忘れて来て
実家に入れず、やむなく弟に鍵を貸してもらう。
という、非常にしょうもないことがきっかけで
旦那に鍵を持たせ、
私は自分のこの鍵を滅多に持ち出さなくなった。
旦那は
「なんで、あなたの実家の鍵をオレが持ってて
それをあてにするんだよ~~」って言うけど
「お父さんの作ってくれた大事な鍵だから
絶対に失くしたくないから。家に置いとくの!」
そう言って・・・・・・・
もう二度と作ってもらえない父の手作りのキーホルダーと
父が鍵屋さんに娘のためにと頼んで作ってくれたスペアキー
それなのに、私はそんな大事な鍵を
どこにやったものやら、とんと分からない場所に
忘れ去っていたのだ・・・・・・・
しかも、それがいつだったのかも・・・・・
探してはあきらめ・・・・・・
また、同じ場所をひっくり返しては探して片付け
あきらめては
やっぱり、あきらめきれずに探し・・・・・
食事にして、食事をして、後片付けして
また探し・・・・・・・
ふと・・・・・・
そうだ。母に電話してやろう。
そう思った。
「やっぱし心配だからさ。そう思って電話したよ。」
母は喜んでいた。
いつもは本当にわがままで、何処に導火線があるかも
イマイチわからないところがあるので
慎重に気をつけながら気遣ってあげてるのだけど
今回ばかりは、母も自分が100%悪いのは承知していたようで
平謝りだったし・・・・・
まあ、仕方ない。生んでくれた母だし
あの優しくて大好きだったお父さんが大好きだったお母さんだから。
母を許してやって電話を終えてからも
心当たりの限り、鍵を探し続けた・・・・・・
何気に散らかっていた場所が
若干綺麗になる。という恩恵がありつつも
鍵は見つからず・・・・・・
何度も同じ場所を探して、ひっくり返して・・・・・・
妹が数年前にくれて冬の間、愛用していた紺色のバッグの中を
何度目だっただろうか、
まさぐっていた時だった。
あった!!!
なんと、普通に内ポケットに入っていたのだ!!
何度も・・・・・
何度も、そのバッグの中も探した筈だったし
探してる間中、そのバッグは目に付く場所にあったのに
しかも、一番に怪しいと思ってたので
真っ先にまさぐったバッグだったのに
その中には無かったと思っていたのに・・・・・・・・
お父さんだな。
私が母と仲直りしたのを喜んでくれて
母との仲を取り持ってくれていた妹のくれたバッグの中に
そっと、忍ばせてくれたんだ。
そう思った・・・・・・
ひとは、死んだらそのままかもしれない。
魂なんてものは最初から無くて
肉体から意識が無くなってただただ居なくなる。
ただそれだけのことかもしれない
だけど
幽霊や心霊の話は
愛しい人がこの世に居なくなったけれど
それでも、どこかに居てくれてるのではないか。
どこかで見守ってくれてるのではないか。
そんな思慕の裏返しの面もあるのだと思う・・・・・
見ててくれてるのかもしれない。
何がしかの、なにかそういうものがあるのじゃないかな・・・・・・・
そう思えるような
汗だくで、不安だったけど
優しい不思議な日だった・・・・・・・
見つかった、大切な大切な鍵は
いつもの場所に、また仕舞っておいた。
大切だから。って、他の場所に移すと
きっと忘れちゃうからね。
お父さん、ありがとう。